駄目人間は今日も

鬱病を持っている駄目人間サラが吐瀉する徒然エッセイ

映画館

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独りきりで映画館で観るのが好き。

単館系の作品は上映される劇場自体がちいさいコトが多いのと、観にきている人たちが少ないのもいい感じ。

マニアックな作品だと、そこに集まっている人同士が醸し出す無言の共同体空間が心地いい。

あなたもこの作品が気になったんだね、わたしもなんだ、ああお気遣いなく勝手に楽しむからあなたも自由に楽しんで。

 

関西の劇場で好きだったのは、シネマ・ヴェリテとスペース・ヴェンゲット。

どれも随分以前になくなっちゃったんだけど、ヘンな作品をたくさん上映してくれていた。

まだあまりソフト化されていなかった頃に、寺山修司の作品をガンガン特集してくれていたり、ジム・ジャームッシュの眠たくなる作品(でも好き)をオールナイトで延々と上映する企画、とかとか。

 

最近はシネコンっていうヤツが映画館の代名詞になって久しい。

シネコンシネコンで好きなんだけど、かつて映画館に漂っていたいかがわしい空気は綺麗さっぱりなくなっちゃったね。

今観ないとこんなの絶対にソフト化されないぞ、なんて思いながら劇場に足を運ぶコトは、シネコンではまずない。

 

そんな中、まだ頑張ってくれてる小さな劇場があって、わたしは大好きなんだ。

 

それが京都みなみ会館

わたしは今夜この劇場に観たい映画があってやってきた、もちろん独りで。

この劇場は昔ながらの映画館で154席、指定席はない。

学生の頃はここでよくオールナイト上映を見ながら朝を迎えた。

大抵は途中で寝てしまう。

朝になって一緒に寝ていた女友達のバイクに乗っけてもらって、京都駅まで送ってもらっていたんだよね。

 

そんな場所に今夜久しぶりにやってきた。

ただいま。

H・R・ギーガーのドキュメンタリー映画「DARK STAR -HR GIGERS WELT」を見るために。

ギーガーは、2014年に亡くなったスイスの奇才芸術家だ。

いや、天才といえばいいのかな。

彼の作品集「ネクロノミコン」を買って以来、わたしは彼の作品のとりこだった。

今でも初版本を大切に保管している。

 

彼のドキュメンタリーと聞いて1番興味を惹かれたのは、奥様のコトだった。

こんなエキセントリックな芸術家と生活を共にするのは、一体どんな女性なんだろうかと。

 

カルメンは、とても穏やかで知的で、柔らかな印象の素敵な女性だった。

そして、彼の作品を心から愛していた。

ギーガーは、彼女以外にも過去、何度か結婚をしていたようなんだけど、別れた後もビジネス・パートナーとして人間関係が続いていたり、仲良く夕食を共にする友人のようだったりするのだった。

わたしはそんな彼等の楽しげな談笑を観ながら、何故だか涙が止まらなかった。

 

ギーガーは、リドリー・スコット監督の「エイリアン」の成功を期に、モンスター・デザイン、クリーチャー・デザインの大家として超有名になったんだけど、彼はデザイナじゃない。

明らかに、画家なんだ。

 

この映画を観て、わたしはギーガーが更に好きになった。

いつかギーガー美術館にも行きたいと思っている。

もちろん、ギーガーのバーにも。

 

小さな映画館には、シネコンにない刺激が潜んでいる、コトもあるんだよ。